恋愛あるある
“遠い海 井上靖”
恋愛小説。
このところ、リアルもバーチャルもフィクションも、とんと恋愛に触れていなかった。
久しぶりの恋愛小説。
しっとりした恋愛モノかと思いきや、男女っていうか女のネチネチ感が前面に出て、ぐるり一周して着地しましたとさ。
読み始めは、どんだけ昭和やねん!と突っ込んでしまったけど、没入してくると心の動きにあるあるーってなってしまった。
タイトルの「遠い海」も、後半にガッテン。
一人、遠い海を持たない出演者がなんとも言えず蚊帳の外で、読後に可哀想になってしまう。みんなあるはず、遠い海。恋愛じゃなくっても。実在の人物かのように、彼女の人生に想いを馳せてしまうのです。
それぞれが抱えて、しまい込んでいる寂しさが透けて見える小説は食が進むね。
寺山修司の詩があったような、なかったような。
海には一滴の涙がまじっている、って。
恋愛は、短いスパンに酸い甘い、心の浮き沈み、明暗が凝縮されていて良いものですな。次回はもっとハリウッドなバタ臭い胃もたれしそうな恋愛モノ読んでみよーっと。